
年末年始って人は楽しいけど、ペットにとっては危ないことが多いって聞いたんだけど本当?

その通りだよ。ごちそうや来客、
暖房器具…実は事故が一番増えやすい時期なんだ

“いつもと違う”が一気に増えるのが年末年始。
だからこそ、事前に知っておくことが大事なんだよ
第1章:食べ物による事故
年末年始は、普段よりも豪華な食事が並ぶ家庭が多くなります。
しかし、人にとってはごちそうでも、ペットにとっては命に関わる危険な食べ物が数多く含まれています。
おせち料理・ごちそうの誤食
おせち料理には、砂糖・塩分・醤油・みりんなどが多く使われています。
これらは犬や猫にとって内臓に大きな負担となり、以下のような症状を引き起こす可能性があります。
- 嘔吐・下痢
- 食欲不振
- ぐったりして動かない
- 腎臓や肝臓へのダメージ
特に「少しだけなら大丈夫」と与えてしまうケースが多く、毎年トラブルが後を絶ちません。
中毒の危険がある食材
以下の食材は、少量でも中毒を起こす可能性があります。
- ネギ類(玉ねぎ・長ねぎ・にら)
→ 赤血球を壊し、貧血を起こします - チョコレート・ココア
→ テオブロミンという成分が中毒を引き起こします - アルコール
→ ふらつき、意識障害、最悪の場合は命に関わります
これらは、おせち・おつまみ・お菓子に含まれていることが多く、床に落ちたものを拾い食いする事故にも注意が必要です。
骨・串・殻による事故
年末年始は、以下のような食材も増えがちです。
- 焼き鳥の串
- 魚の骨
- カニやエビの殻
これらを誤って飲み込むと、
- 喉に刺さる
- 胃や腸を傷つける
- 腸閉塞(腸が詰まる状態)
といった緊急性の高い事故につながることがあります。
飼い主ができる予防ポイント
- 食事中はペットを別室に移動させる
- テーブルや床に食べ物を放置しない
- 来客にも「ペットに食べ物を与えない」ことを伝える
ほんの少しの配慮で、防げる事故がほとんどです。
第2章:誤飲・誤食事故
年末年始は、部屋の中に普段は置かれていない物が一気に増える時期です。
そのため、ペットの誤飲・誤食事故が非常に起こりやすくなります。
年末年始特有の危険な物
以下は、特に事故が多い代表例です。
- お年玉袋・封筒
- 包装紙・リボン・紐
- 輪ゴム・ビニール袋
- お正月飾りのパーツ
これらはカラフルで動きやすく、犬や猫の遊び心を強く刺激します。
誤飲によって起こる主なトラブル
小さな物を飲み込んでしまうと、次のような症状が見られることがあります。
- 繰り返す嘔吐
- 食欲不振
- お腹を痛がる様子
- 便が出ない、または血が混じる
特に注意したいのが、腸閉塞(ちょうへいそく)です。
これは、異物が腸に詰まり、手術が必要になるケースも多い非常に危険な状態です。

※腸閉塞とは
→ 飲み込んだ異物が腸を塞ぎ、内容物が流れなくなる病気のことだよ
子どものおもちゃによる事故
年末年始は、子どもへのプレゼントとしておもちゃが増えます。
- 小さなフィギュア
- ブロック
- 電池(特にボタン電池)
これらは誤飲すると命に関わる危険物です。
特にボタン電池は、体内で化学反応を起こし、短時間で重篤な障害を引き起こします。
事故を防ぐための対策
- 小物類はペットの届かない場所へ保管
- 遊んだ後は必ず床を確認
- 来客・子どもにも片付けをお願いする
- 「噛み癖のある子」は特に注意する
誤飲事故は、「少し目を離した隙」に起こります。
環境を整えることが最大の予防策です。
第3章:暖房器具による事故
寒さが厳しくなる年末年始は、こたつやストーブなどの暖房器具が欠かせません。
しかし、これらはペットにとって思わぬ事故の原因になることがあります。
こたつによる低温やけど・脱水
こたつは安全そうに見えますが、長時間入り続けることで次のようなトラブルが起こります。
- 低温やけど
→ 表面に大きな傷がなくても、皮膚の奥がダメージを受ける - 脱水症状
→ 体の水分が奪われ、元気がなくなる - のぼせ・体調不良
特に高齢のペットや、短頭種(鼻の短い犬種・猫種)は注意が必要です。
ストーブ・ヒーターによる火傷事故
石油ストーブや電気ヒーターは、直接触れることで火傷を負う危険があります。
- 尻尾やヒゲが焦げる
- 体毛が燃える
- 熱い本体に触れて皮膚を火傷する
また、倒してしまうことで火災につながるリスクもあります。
電気コードのかじり事故
暖房器具に限らず、冬は電気コードが増えます。
- コードをかじって感電
- 被覆が破れショート
- 火災の原因になることも
特に子犬・子猫、噛む癖のあるペットは要注意です。
事故を防ぐための対策
- こたつ内に長時間いないか定期的に確認
- ストーブの周りにガードを設置
- コードカバーを使用する
- 外出時は暖房器具を消す、または安全なものに限定する
暖かさと引き換えに事故が起きないよう、
「人が快適=ペットも安全」とは限らないことを意識することが大切です。
第4章:来客・帰省時の脱走事故
年末年始は、親戚や友人の来訪、帰省などで人の出入りが一気に増えます。
この時期に特に多いのが、ペットの脱走事故です。
玄関の開け閉めが増える危険性
来客が多いと、玄関や窓の開閉回数が増えます。
- 荷物の出し入れ
- 子どもの出入り
- 換気のための窓開け
その一瞬の隙を狙って、ペットが外へ飛び出してしまうケースが非常に多いです。
環境変化によるパニック
普段と違う環境は、ペットにとって大きなストレスになります。
- 知らない人の匂い・声
- 子どもの大きな声
- 生活リズムの変化
驚いてパニックになり、思わぬ行動を取ってしまうことがあります。
脱走後に起こりやすい事故
外に出てしまうと、次のような危険が待っています。
- 交通事故
- 迷子になって帰れなくなる
- 他の動物とのケンカ
- 寒さによる体調悪化
特に室内飼いのペットは、外の環境に慣れていないため、命の危険が高まります。
脱走を防ぐための対策
- 来客前にペットを別室に移動
- 玄関に「ペット注意」の貼り紙をする
- ハーネス・首輪・迷子札を常に装着
- マイクロチップの登録情報を確認する
「うちは大丈夫」と思っている家庭ほど、事故は起こりがちです。
事前のひと工夫が、最も効果的な予防策になります。
第5章:騒音・ストレスによる体調不良
年末年始は、家の中がにぎやかになりやすい時期です。
しかしその「にぎやかさ」が、ペットにとっては大きなストレスになることがあります。
年末年始特有の騒音
この時期は、普段とは違う音が増えます。
- テレビや音楽の音量が大きくなる
- 親戚や友人の話し声・笑い声
- カウントダウンや花火の音
犬や猫は人よりも聴覚が優れているため、小さな音でも強い刺激になります。
ストレスによって起こる症状
強いストレスを感じると、次のような変化が見られることがあります。
- 食欲が落ちる
- 下痢や軟便が続く
- 元気がなくなる
- 過剰に吠える、隠れる
- トイレの失敗が増える
これらは「性格の問題」ではなく、体と心のSOSです。
高齢・持病のあるペットは特に注意
高齢のペットや、心臓・腎臓などに持病がある場合、
ストレスが引き金となって症状が悪化することがあります。
- 呼吸が荒くなる
- ふらつく
- ぐったりして動かない
このような場合は、早めに動物病院へ相談することが重要です。
ストレスを減らすための工夫
- 静かに過ごせる「安心スペース」を用意する
- 無理に人と触れ合わせない
- テレビや音楽の音量を下げる
- いつも通りの生活リズムを意識する
「かわいそうだから我慢させる」のではなく、
安心できる環境を守ることが飼い主の役割です。
第6章:事故を防ぐための具体的な対策
年末年始のペット事故は、「知らなかった」「少し油断した」ことで起こるものがほとんどです。
ここでは、すぐに実践できる具体的な対策を紹介します。
事前にできる環境づくり
年末年始を迎える前に、家の中を一度見直してみましょう。
- 誤飲しそうな物は片付ける
- 食べ物は必ず蓋つき容器へ
- 暖房器具の配置を安全な位置に変更
- 玄関・窓の施錠や脱走防止柵を確認
「ペットの目線」で確認することが大切です。
家族・来客への注意喚起
事故の多くは、家族や来客の何気ない行動がきっかけになります。
- ペットに食べ物を与えない
- 玄関の開け閉めに注意する
- 子どものおもちゃは片付ける
あらかじめ一言伝えておくだけで、リスクは大きく下がります。
動物病院の年末年始対応を確認
万が一に備えて、次の情報を確認しておきましょう。
- かかりつけ病院の診療日・時間
- 夜間救急の連絡先
- 休日対応している病院の場所
スマートフォンに登録しておくと、緊急時に慌てず行動できます。
飼い主の「意識」が最大の予防策
特別なことをする必要はありません。
- いつもより少し注意する
- いつもより少し観察する
それだけで、多くの事故は防げます。
まとめ:年末年始を安全に過ごすために
年末年始は、人にとっては楽しく特別な時間ですが、
ペットにとっては事故や体調不良が起こりやすい時期でもあります。
- ごちそうによる中毒や誤食
- 小物やおもちゃの誤飲
- 暖房器具による火傷や脱水
- 来客時の脱走事故
- 騒音や環境変化によるストレス
これらの多くは、事前に知っていれば防げる事故です。
「少しくらいなら大丈夫」
「いつも平気だから」
その油断が、思わぬトラブルにつながることがあります。
だからこそ、年末年始はいつも以上に、
- ペットの行動をよく観察する
- 家の中の安全を見直す
- 家族全員で意識を共有する
ことが大切です。
ペットは自分で危険を避けることができません。
飼い主のちょっとした気配りが、大切な命を守ることにつながります。
今年も、そして新しい年も、
ペットと一緒に安心で穏やかな時間を過ごせますように。
